寛永九年 | 1632 | 冬、幕府儒臣林羅山が、上野忍ヶ丘の邸内に孔子廟を建てた。尾張藩徳川義直はこれを助けて、孔子の聖像と顔子・曾子・子思・孟子の四賢像や祭器を寄付し、「先聖堂」の扁額を書いて与えた。 |
寛文元年 | 1661 | 幕府は先聖殿の大改築を行ない、正殿・杏壇門・入徳門などを完備。 |
元禄三年 | 1690 | 将軍綱吉は、聖廟を神田台(現在の湯島)に移し、先聖殿を大成殿と改称し、大成殿及び附属の建物を総称して、聖堂と称した。 建物全体を朱塗りにし、青緑に彩色した。また、杏壇門の傍らに杏数株を植えた。 |
元禄十一年 | 1698 | 四月、大成殿の東北の隅に祠堂を建て、神農像を祀った。 |
元禄十六年 | 1703 | 十一月、大火のため、大成殿・学寮・御成殿などが全焼。 |
宝永元年 | 1704 | 大成殿を再建復旧した。同時に復旧の入徳門は、現在も残っている。 |
享保二年 | 1717 | 仰高門東舎において、毎日儒学の講義(日講)を開き、庶民に開放した。 |
安永元年 | 1772 | 三月、大火のため、大成殿が類焼した。 |
安永三年 | 1774 | 大成殿を縮小再建した。 |
天明六年 | 1786 | 正月、大火のため、大成殿・学舎が類焼した。 |
天明七年 | 1787 | 大成殿をさらに縮小再建した。 |
寛政九年 | 1797 | 学舎の敷地を拡張し、昌平坂学問所(昌平黌)を開設した。 二月、多紀氏の要請により、神農像を神田佐久間町の医学館(躋寿館)に移した。 |
寛政十一年 | 1799 | 老中松平定信(楽翁)の幕府改革により、大成殿を規模拡張の上、改築し、建物全体を黒塗りにした。 |
弘化三年 | 1846 | 正月、江戸大火のため、昌平坂学問所・学舎が全焼したが、大成殿は災を免れた。 |
明治十三年 | 1880 | 岩倉具視が谷干城らと謀り斯文会を創設した。 会長は有栖川熾仁親王。 |
明治四十年 | 1907 | 孔子祭典会が組織され、大成殿において第一回孔子祭を行なった。 この後、毎年四月第四日曜日を例祭とする。 |
大正七年 | 1918 | 九月、斯文学会・孔子祭典会などを統合改組し、公益財団法人斯文会が創設された。 |
大正十一年 | 1922 | 三月七日、国法により聖堂は史跡に指定された。 十月二十九日、孔子二千四百年追遠記念祭を行なった。 |
大正十二年 | 1923 | 九月一日、関東大震災のため聖堂・斯文会事務所などが全焼。 入徳門・水屋は災を免れた。 斯文会は、直ちに聖堂復興計画を立てた。 |
昭和七年 | 1932 | 一〇月二三日。大塚先儒所において初めて先儒祭を行なった。以後、毎年秋に先儒祭を行なっている。 |
昭和十年 | 1935 | 四月四日、聖堂復興竣工式・孔子像鎮斎式を行ない、同時にこれを国家に献納した。 孔子像は三月二十九日、御下賜の御物で、明の遺臣朱舜水が携えて来たもの。 復興聖堂は規模構造すべて旧聖堂に拠ったが、ただ木造を鉄筋コンクリート造りとした。 大成殿は南面し、桁行六十尺(約二十m)、梁間四四尺四寸(約十四m)内外共に黒色エナメルペイント塗り、屋根は入母屋造り、銅本丸葺き、大棟の両端に鬼犾頭をのせ、下り棟及び隅棟の止端には、鬼龍子を置く。いずれも青銅製。 正面大額「大成殿」の三字は当時の斯文会総裁伏見宮博恭王の書である。 これらの設計は東京帝国大学工学博士伊東忠太教授による。 |
昭和十八年 | 1943 | 神農像が木村家より斯文会に寄贈され、六月末、現在の位置に神農廟を移築。これより毎年十一月二十三日に神農祭を行っている。 |
昭和二十年 | 1945 | 四月十三日第二次世界大戦の空襲に、入徳門の透塀の一部と水屋等は焼失し、練塀の一部が破壊された。 |
昭和二十四年 | 1949 | 十月三十日、斯文会を中心にして内外の有志約千人が参列し、孔子生誕二千五百年記念祭典を行なった。 |
昭和二十九年 | 1954 | 四月十四日、聖堂並びに附属建造物は、文化財保護委員会の所管となった。 戦災による被害箇所は逐次修理されて旧に復した。 |
昭和三十一年 | 1956 | 四月十八日、文化財保護法により公益財団法人斯文会は、文化財保護委員会から湯島聖堂の管理を委託された。 |
昭和五十年 | 1975 | 十一月三日、台北ライオンズクラブより、孔子像が贈られ、構内で除幕式を行なった。 |
昭和六十年 | 1985 | 四月二十八日、湯島聖堂復興満五十年を記念し、参列者千人以上に及ぶ盛大な孔子祭を挙行した。 |
昭和六十一年 | 1986 | 文化庁による湯島聖堂の改修工事が始まった。 |
平成元年 | 1989 | 募金による、附属講堂(斯文会館)及び神農廟の改修を行った。 |
平成二年 | 1990 | 聖堂創建三百年記念事業を行う。八月、記念展覧会「江戸は日本人を創った」 開催(於:日本橋東急)。十一月、記念式典挙行(於:聖堂) |